Lx 攻略情報54 大書庫で閲覧した書物8【セレク・セレヌ冒険譚解説】

【セレク・セレヌ冒険譚解説】
        ―トルニト・イェンセン著

 メルナ教の聖書に記述のある最もはじめの「勇者」として描かれた古代イシュネレイア王朝時代の王の物語。世界的にも多くの人々に親しまれ、舞台劇や吟遊詩人の歌、子供の読み聞かせ絵本にもなっている。しかし一方で非常に謎の多い物語としても有名で、成立した年代も古く文献も複数に渡ること、口伝や吟遊詩人たちが語り伝えたものもあるということを含め、同じ物語でも齟齬が生じている部分も多い。その代表的な例が「セレク・セレヌ」という名前である。聖書をはじめ多くの古文書にも彼の活躍が記録されているが、彼の名前に関する記述だけがことごとく失われているのだ。これほどの偉業を成した人物の名が残されていないのは奇妙だが、実際どの文献にも「イシュネレイア王」、「かの者」といった呼称が用いられている。現在親しまれている「セレク・セレヌ」という名前は、吟遊詩人が語り継ぐ際に名付けたという説が有力である。本書においてもすでに題名にまで用いてしまっているが、「セレク・セレヌ」の呼称で統一することとする。

〇あらすじ
 霜海の戦いで連合軍は辛くも魔王軍に勝利したが、イシュネレイア王フェボラスは命を落とす。セレク・セレヌが誕生したのはあくる日の朝であった。フェボラス王がもたらした束の間の平和の中、母スーナヴィヤの慈しみを受けてセレク・セレヌは逞しい戦士として育った。そして打倒魔王ヨースを誓ったセレク・セレヌは、冒険の旅に出ることを決意する。母スーナヴィヤは旅立つセレク・セレヌに赤い果実と青い果実の果実酒を持たせた。アルビルキス、ヴィルヒコック、ストラウネルを仲間に加え、各地の魔物を倒して町村を救いながら旅を続けたセレク・セレヌは、ついに魔王の城に辿り着く。そして死闘の末、3人の供と力を合わせて魔王ヨースを倒し、世界の平和をもたらしたのだった。

〇主な登場人物
・セレク・セレヌ
哀王フェボラスと慈母スーナヴィヤの子として神々の祝福を受けて生まれた、勇者の資質を持つ人間。後に魔王討伐の偉業を讃えて『英雄王』と称される。剣術、弓術に優れ、魔法も操る才も持ち合わせていたが、一方でカナヅチであったこともよく知られている。

・アルビルキス
セレク・セレヌの人ならぬ供の1人。小さな緑色のコマドリの姿をした精霊。傷を治し病を癒す力を持っている。

・ヴィルヒコック
セレク・セレヌの人ならぬ供の1人。怪力自慢の一つ目の巨人で、何にでも変身できる能力を持っている。はじめは敵として登場したが、セレク・セレヌの冒険の旅の最初の仲間となる。

・ストラウネル
セレク・セレヌの人ならぬ供の1人。とがった耳と額に第三の目を持つ種族で、「大魔道士」と呼ばれるほどの魔法使い。炎を風で編んだマントを身にまとっている。

・アガーシャ王
聖書の「王と十二賢者」にも登場する、原初の魔道書『魔想言録』を編纂した王。『セレク・セレヌ冒険譚』では名前のみ登場。

・バエルンハルト、ヴィセ、クレヴィング
聖書の「王と十二賢者」にも登場する、原初の魔道書『魔想言録』の編纂に協力した中でもとくに有名な3人の賢者。『セレク・セレヌ冒険譚』では名前のみ登場。

・魔王ヨース
「十二賢者」の一人。『魔想言録』の編纂の途中に反目し魔の道に進む。魔王となってからは魔王軍を率いて各国を侵略し世界を恐怖に陥れた。

・哀王フェボラス
「十二賢者」の一人。イシュネレイア王であり、セレク・セレヌの父。セレク・セレヌの誕生を待たず、霜海の戦いで戦死する。

・スーナヴィヤ
イシュネレイア王妃でありセレク・セレヌの母。セレク・セレヌを立派な青年へと育て上げ、旅立ちの際にはエルクベリーとシガンベリーの果実酒を持たせた。

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Lx 攻略情報53 大書庫で閲覧した書物7【武具の探究者ラカタン】

【武具の探究者ラカタン】
        ―テドラスク・クーバン著

 煌鉄時代、ロプの国の鍛冶職人であったラカタンは、日頃から邪悪な魔物に平和を脅かされ、苦しむ人々を見て憂いていた。そして人々に必要なのは魔物から身を守る備えだと考えたラカタンは武具探しの旅に出る決意をする。数名の弟子を連れて世界各地を巡り、武具の知識や製法、また武具そのものも集めた。費やした年月はゆうに20年を越える長い旅となった。旅を終えてロプの国に戻ったラカタンは、集めた武具を古いものは打ち直し、また自らも集めた製法に習っていくつも武具をつくった。また弟子のヘメルと共にこれらの武具の知識や製法を書にまとめた。


 ここに彼がつくった武具の一部を紹介する。
 ・地剣テンゲンアカツキ
 ・焔弓フテンヤシナ
 ・冥刀アラクニシガリ
 ・幻玉エンサユウヅツ
 ・天鎧ハッコウヒノウマ
 ・彩衣ゴシキテンヨウ
 ・耀兜ギンカンノブセ
 ・朔刀センジュウキフネ
 ・八斧オニグモセッカ
 ・飄槍ゼクウアキカゼ
 ・黒槌ケンノウアメツチ

 ラカタンは晩年、旅で手に入れた『聖なる種』についての研究に明け暮れた。千年の森を守る勇者の武具と深い関係があるとのことだったが、終には真実にたどり着くことができないまま失意のうちに生涯の幕を閉じた。享年86歳。

 彼がこの長い旅の中で得た武具に関する知識や技術は、現在の武具製造の発展に多大なる影響を及ぼしている。また、彼のつくった武具の一部は現在も彼の工房に収蔵されているが、「正しき者の手にあり悪を討つためにあるべき」というラカタン本人の意向によりその多くは世に出回っている。本書の読者の中でもし彼の武具に出会うことがあったら、是非彼を偲び思いを馳せてほしい。

Lx 攻略情報52 大書庫で閲覧した書物6【根源の邪竜についての研究】

【根源の邪竜についての研究】
        ―キドニア・センデラル著

 聖書の『邪竜退治』には、数少ない根源の邪竜についての記述がある。創造主メルノティがこの世界をつくり、つかさどる者としてソトル神とカーサリ神をつくった。そしてソトル神とカーサリ神がこの世界でまず行なったのが根源の邪竜の討伐だ。
 根源の邪竜という名の通り、この世界のすべての悪の源であり、禍々しい瘴気をまとった巨大な魔物として描かれる。ソトル神とカーサリ神は、メルノティから借り受けた「夜明け薙ぎの剣」(あるいは「宵切りの剣」)と数々の魔術で根源の邪竜に挑んだ。戦いは熾烈を極め、ソトル神をかばってカーサリ神が太腿に傷を負うが、ついにはソトル神の剣が邪竜にとどめを刺した。しかし邪竜の死骸からも禍々しい瘴気は消えなかった。2人は仕方なく邪竜の死骸を細かく切り分け、世界各地の地中深くに封印した。これでこの世界の巨悪は滅したと思われたが、長い年月の間に邪竜の死骸の小片がまとう瘴気が周囲の地を侵し、その瘴気から魔物が生まれ始めた。これが現在にまで世界中に魔物が跋扈している要因だとされている。根源の邪竜は「竜」と名がついているが実際には「竜」であるかどうかも不明である。
 
「ソトルとカーサリは鋭い剣を使って
 邪竜の死骸を
 血肉、鱗、皮、骨、歯、翼、角に切り分けた」
    ユーミティア語訳聖書「邪竜退治」より

 一般に知られている聖書には「邪竜」と訳されているが、古文書の翻訳前の記述は古代語で「魔物」を意味するものとなっている。鱗や角、翼がある魔物のイメージを「竜」と見るのは容易であるが、民間伝承や宗教画では魔道書に載っているような悪魔のような姿で描かれたり、果ては大きな獣として描かれる例もある。
 根源の邪竜に関して最も不可解とされているのは、その存在である。創造主メルノティによる世界創造の後、この世界を託されたソトル神とカーサリ神がまずはじめに行なったのが邪竜退治だ。となると世界創造のときにすでに根源の邪竜が存在しているということになる。この世界の創造と同時に邪竜も生み出されてしまったのか。あるいは、創造主メルノティが意図して邪竜までもつくり出したのか。この世界のはじまりを語る上でも最も謎に満ちた点である。

Lx 攻略情報51 大書庫で閲覧した書物5【空見の民】

【空見の民】
        ―シドラル・カシウス著

■空見(うつろみ)の民
 グレドエルム大陸のケトゥラ族、ウィルブス大陸のバルベル族、キルプ諸島のニシュタカン族など世界各地に居住するククマウル民族の呼称。固有言語はケトゥ語であるが遊牧や貿易を主として栄えたため、現在ではわれわれ同様ユーミティア語を話す人が多い。元々は小民族であったが信仰のために世界各地を旅しそれぞれの地域に分化していったとされている。彼らの信仰の対象は『マハロド』と呼ばれる母なる神、そしてマハロド神が住まう天空の島『エムロファト』である。またマハロド神話に神の使いとして登場する様々な動物も彼らの信仰の対象となっている。伝統的な装飾にも多くの動物が見られ、代表的なものとして幸運を呼ぶ青いうさぎがよく知られている。空見の民たちの文化で最も有名なのが『試練の旅』の掟だろう。この掟のために彼らは一つの場所に定住せず、家や領地を持つ者も毎年長期の旅に出かける。特異な例として空見の民が国家持ったセパラ王国があるが、その国王でさえ年に一度、雨季と乾季の境に王宮を離れ、見聞を広めるために領内や他国まで旅をする。これはセパラ国では最大の行事となっており、この時期に合わせて大半の国民も『試練の旅』に出るため、王都は閑散とする。


■マハロドの神話
 太古の昔、島国ククマウルに「マハロド」と名乗る者が光り輝く空飛ぶ船で降り立った。マハロドは人々に同じ言葉で語りかけ、動物や植物、薬の知識、建築や治水の技術など様々なことを教えた。ククマウルの人々はマハロドを親しみ敬い、ククマウル王もよく話をし助言を求めた。
 しかし、しばらくするとマハロドはまだ為すべきことがあるためこの地を離れなければならないことを告げる。別れを惜しむ人々にまたいつの日か再会すること、そしてそのとき豊かになった国を見せてほしいということを約束をする。最後にマハロドは天高き雲の上に住まうため島を一つ譲ってほしいと王に頼んだ。王がその通りにするとマハロドは空飛ぶ船と共に島を空のかなたに連れて行った。人々はマハロドが神であったに違いないと言い合った。
 しばらくのち、ククマウルの国は未曽有の大災害に見舞われ、海の底に沈んでしまう。帰るべき故郷を失い、マハロドとの約束も果たせなくなった人々は絶望の淵に立たされる。そしてマハロドと再会するため、また唯一残された故郷である天空の島に行きつくために人々は旅をし続けることを誓った。人々はその地を「エムロファト(雲間に隠れた場所)」と呼び、長き『試練の旅』の終着点としたのだった。

Lx 攻略情報50 大書庫で閲覧した書物4【物神二元論】

【物神二元論】
        ―リィディ・ラハタナ著

 この世界に存在するあらゆる物質、物体は「オード」と「エアン」によって構成されている。「オード」とは「形あるもの」を意味し、物理的世界においての実体をさす。主に肉体や形骸などがこれにあたり、「魂を入れる器」と表現されることもある。また「エアン」とは「目に見えないもの」を意味し、精神的世界においての実体をさす。魂や霊体などがこれにあたり、肉体を動かすための自我や意思をつかさどる本質と言われている。これらの名称は聖書の「天地創造」に描かれているものを引用している。

『メルノティはオードを手に取り、途方もない時間をかけて世界を形作った。次にメルノティは途方もない時間をかけて世界のすべてをエアンに浸し、生命を吹き込んだ』

『メルノティは世界のすべてを治めつかさどる存在として神をつくることにした。オードを手に取り人間に似せた形を2つつくり、エアンにた
っぷりと浸し永遠の命と大いなる力を与えた。メルノティはその2つに「ソトル」と「カーサリ」という名を授けた』

『ソトルとカーサリにとって、広い世界と多くの生命は手に余った。そこでメルノティがしたことをまねて他の神々をつくることにした。2人で手分けしてオードで形をつくりエアンに浸した。メルノティのつくった自分たちに比べると不格好で不完全であったが、とにかくたくさんつくった。』

        メルナ教 聖書「天地創造」より

 聖書によれば「オード」「エアン」は名称こそたびたび登場するが、扱いとしては非常に概念的でありそのもの自体が何であるかにはほとんど言及されていない。判明していることは、これに触れた者は世界をつくった創造主メルノティと、それをまねて他の神々をつくったソトル神とカーサリ神しかいない。古代語で「目に見えないもの」を意味する「エアン」は確かに少なくとも我々人類には見えないが、創造主と双神には創造の材料に扱えるほど充分に見えていると読み取れる。そして、聖書の記述から「オード」はどうやら形をつくるのに適した素材、泥やパン生地のようなものではないだろうか。一方「エアン」は「形作ったオードを浸す」という記述から液状のものと考えられる。そして最も注目したいのが、ソトル神とカーサリ神をつくる際「たっぷりのエアンに浸して永遠の命と大いなる力を与えた」という箇所である。オードだけでつくられた器としての肉体に、エアンに浸して本質を宿す。本質とは生命であり力の源なのである。
 「エアン」は一般に言う(自然魔法学的見地における)内在魔力(MP)と同一視されることが多いが厳密には異なる。私がよく用いる例で説明するが、魔法使いは自分の体内に持つ魔力(MP)を用いて魔法を行う。するとその分だけ魔法使いが持っている魔力(MP)が減少するが、エアン(本質)は減らない。魔法使いが内在魔力を使い切ってしまうとそれ以上魔法が使えなくなってしまう。しかし、その時点でもエアン(本質)は減っていない。エアンはその者の本質なのだから、内在魔力と同様に減ってしまったら、魔法を使えなくなった時点で肉体の中の本質が消滅、すなわち死んでしまうことになってしまうのだ。以上のことより、生物はオードの肉体にエアンの本質が宿っており、その生物が持つ魔力はどちらかと言えば肉体の方に属しエアンとは直接の結びつきはないと理解していただきたい。
 この世界は創造主メルノティがすべてオードで形作った。オードでできた山や海、オードでできた木、生き物、人間。そしてそのすべてをエアンに浸すことで、山は山になり海は海になり、木は木、生き物は生き物、そして人間は人間になったのだ。これら聖書に書かれている通り、世界創造の材料となった大量のオードとエアンは当然ながらこの世界ができる前から創造主メルノティが手に持っていたものである。すなわち「オード」と「エアン」こそがこの世界の、そしてこの世界を生きるものすべての根源となっているのだ。

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